卒業生の体験談やメッセージ
教員採用試験受験勉強の体験記
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東京都公立中学校 数学教諭 落合 圭祐
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平成30年3月 日本大学大学院 理工学研究科 博士前期課程 数学専攻修了
■大学で学んだこと
日本大学理工学部数学科では、中学校、高等学校の数学の教員免許状だけでなく、高等学校の情報の教員免許状を無理なく取得することができます。
私は、数学に加え、情報の教員免許状を取得しました。そして、大学院博士前期課程2年時に数学と情報の非常勤講師として高等学校に勤めるという貴重な経験をすることができました。■いつから、勉強しましたか?
○教職教養
学部3年生の10月から少しずつ勉強を始めました。○専門教養(数学)
大学院修士1年生の10月から過去問に取り組みました。○論文
大学院修士1年生の12月から始めました。■どんな勉強をしましたか?勉強方法を教えてください。
〇教職教養
使用した参考書 ・東京都の教職教養 過去問 (協同出版)
・東京都の教職教養 参考書 (協同出版)過去問を繰り返し解きました。不正解の選択肢に関しても、分からない単語があれば調べるなど、過去問を中心に対策を行いました。また時事問題に関しては傾向に合わせて、各種答申を調べました。
〇専門教養(数学)
使用した参考書 ・東京都の数学科 過去問 (協同出版)
・東京都の数学科 参考書 (協同出版)
・高校時代に使っていた参考書制限時間を決めて、過去問を繰り返し解きました。
〇論文
過去問を参考にして傾向を調べ、テーマに対する理解を深めました。また、大学主催の教員採用試験対策講座や模擬試験に参加し、本番と同じ形式で論文を書き、添削してもらう機会を増やしました。■これはやっておいたほうが良いと言うポイント・コツを教えてください。
可能な限り早期から教員採用試験に向けての勉強を始めたほうが良いことは間違いありません。何を勉強すれば良いのかが分からないこともあると思われますが、今すぐに取り組めることから迷わず始めることが大切です。
また、都庁ホームページに案内のあった東京都公立学校教員志望者向けの説明会に参加したことは、極めて有意義であったと思います。特に東京都の場合は教員志望者説明会だけでなく、個別相談会や学校見学会も実施しています。それらに参加することは実際の学校現場に接する貴重な機会であり、採用試験の対策のためにはとても役に立ちました。■最後に一言お願いします!
決してあきらめずに最後まで頑張ってください。
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日本大学習志野高等学校 数学教諭 宮臣 有紀
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平成24年3月 日本大学大学院 理工学研究科 博士前期課程 数学専攻修了
■目指し始めたきっかけはなんですか?いつから目指しましたか?
中学高校時代の恩師の工夫溢れる授業に魅せられて教員を目指しました。 教員を本格的に目指そうと思ったのは、大学生になってからです。
■いつから、どのくらい勉強しましたか?
専門科目である数学の勉強は、大学院修士1年生の10月頃から始めました。 一般教養や教職教養は、修士1年生の12月頃から始めましたが、本格的に勉強したのはその年の2月に入ってからです。
■どんな勉強をしましたか?勉強方法を教えてください。
*専門科目 ( 数学 )
使用したテキスト:大学への数学ⅠAⅡBⅢC (研文書院)
一通り解き終えたら、高校の教科書にも取り組みました。*一般教養
使用したテキスト:一般教養30日完成 (時事通信出版局),
一般教養らくらくマスター(実務教育出版)
らくらくマスターを利用し、電車の中で勉強しました。
5月から一般教養30日完成に取り組み、何回も繰り返し学習しました。*教職教養
使用したテキスト:教職教養ランナー(一ツ橋書店),
教職教養らくらくマスター(実務教育出版),
教員採用試験問題集<1>教職教養 (オープンセサミシリーズ)
ランナーを一通り終えた後に、問題集を利用し実践に備えました。■平均的な一日のタイムスケジュールを教えてください。
【修士2年生の1次試験前】
5時30分:起床
8時30分~15時:大学院生としてのゼミもしくは高校での非常勤講師
15時~18時:専門科目の勉強
20時~22時:一般教養/教職教養の勉強
22時~24時:高校の授業の予習,プリント作成など
25時:就寝■これはやっておいたほうが良いと言うポイント・コツを教えてください。
数学は、教科書レベルは完璧に勉強しておいたほうが良いと思います。 証明や途中の課程までしっかりと書けるようにしておくことも大切です。 教職教養・一般教養も、記述式なので書いてしっかりと覚えることが大切だと思います。
■最後に一言お願いします!
あきらめず最後までがんばってください!! 努力は報われると思います。
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日本大学藤沢高等学校 数学教諭 伊賀 寿美子
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平成13年3月 日本大学理工学部数学科卒業
(1)教員採用試験の勉強方法について
教員採用試験のための勉強について、自 分のおこなった方法をご紹介したいと思います。教員を目指す皆さんにとって 少しでも参考になれば幸いです。
私は時事通信社の通信講座に申し込んで、学部3年生の11月から本格的に勉強を始めました。 市販の本でも十分勉強はできますが、通信講座のほうが採用試験に関する情報がたくさん手に入るので、お勧めします。 私が知っているところでは、当時は通信講座には時事通信社と進研ゼミの2社があったように思われます。
教員採用試験の勉強には、とにかく覚えることがかなりあります。私はテキストを読んでいると眠くなってしまい、なかなか勉強がはかどりませんでした。 そこで飽きないようにするために時間を短めに設定し、教職教養30分、数学30分というように交互にやりました。 教職教養の教科書をただ読んでいるだけでは飽きてしまうので、ポケットサイズの小さいノートをつくり、色ペンをたくさん使ってまとめたりもしておりました。
教職教養のテキストを一通り学び終えた後は、机の上で勉強するのは数学だけにして、教職教養についてはノートを持ち歩いて電車のなかで読んだり、 寝転がったりして暗記していました。できるだけ集中力を維持できるように、自分なりにあれこれ努めました。
一般教養はほとんど机の上では勉強しておりませんでした。私自身は教養があるわけではないのですが、 一般教養に関してはいくらテキストを勉強しても限りがないように感じられます。 従って主に過去問を勉強する方針でやっておりました。 これを書くにあたって、私のような勉強でいいのかどうか不安になり、 周りの先生方に勉強方法を伺ったのですが、だいたい他の方も同じような方法で勉強しておられました。
(2)就職活動との両立について
教員志望者の中には、「企業の方でとりあえず内定をもらっておいて、教員がだめだったら就職しよう」と考える方もおられると思います。 私も最初はそうでした。 しかし、こんな都合の良いようには行かないのが現実です。
その一番の理由は、教員の採用が決まる前に企業の内定式が行われてしまう事です。 内定式をうけたあとは滅多なことがない限り、内定辞退はできません。 もめ事を起こさない為にも、本気で教員を目指している人は、教員一本にしぼったほうが勉強もはかどるので良いと思います。
私の場合は企業のほうも受けておこうと思い、3年生の時に様々な説明会に参加したのですが、 どの会社に行ってもそれほど興味を持つことが出来ませんでした。 予定に入れすぎたこともありますが、一社に参加するだけでドッと疲れてしまい、教員試験の勉強ができなくなってしまいました。 結局企業の就職活動は早々にやめてしまいましたが、これらの説明会への参加によって自分のやりたいことがはっきりしたので、その点はよかったと思っています。
現在の教員生活に於いては、周りの先生方や生徒に大変恵まれて、多忙ですが充実した日を送っております。 教員の採用状況は厳しいとは思いますが、真面目に勉強した分は必ず結果につながると思いますので、後輩の教員志望の皆様も、どうぞ是非がんばって下さい。
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埼玉県公立中学校 数学教諭 山田 光
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平成24年3月 日本大学理工学部数学科卒業
■目指し始めたきっかけはなんですか?いつから目指しましたか?
中学2年の時の担任の姿勢を見て
■いつから、どのくらい勉強しましたか?
3年生の7月から平日2~3時間、休日8~9時間
■どんな勉強をしましたか?勉強方法を教えてください。
まずは教職教養を一通りやりました。一日2単元進めました。 初日に1・2とやり、翌日は1~4をやり、その翌日は1~6をやり、その翌日は3~8といった具合です。
■平均的な一日のタイムスケジュールを教えてください。
例)【休日】
9時:起床
10時~12時半:図書館で勉強
12時半~14時:休憩
14時~19時:図書館で勉強
19時~21時:休憩
21時~23時:勉強
平日は電車内や空き時間になるべく勉強するようにしていました。■説明会・セミナーには参加しましたか?
埼玉県で行われた説明会と学校で行われたグループディスカッションのセミナーに参加しました。
■これはやっておいたほうが良いと言うポイント・コツを教えてください。
面接の練習と授業展開を予め考えておいた方がよいです。あと模擬試験を受けて弱点を見つけて克服すること。
■おすすめの参考書は!?
教職教養30日完成(時事通信出版)
スーパー過去問ゼミ「教育法規」「教育原理・教育心理」(実務教育出版)
らくらくマスター一般教養(実務教育出版)
差がつく論文の書き方(実務教育出版)■最後に一言お願いします!
一回で合格するという気持ちで勉強してください。過去問研究を忘れずに!
頑張ってください。 -
東京都立高等学校 数学教諭 柏木 秀也
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平成19年3月 日本大学理工学部数学科卒業
(1)教員採用試験に向けて
大学入試のため受験勉強とは異なり、教員採用試験ではその受験勉強の殆どを自力で進めなければならないので、多くの困難がありました。 学習方法や試験の様子などといった情報の収集手段でも最初は要領を得なかったし、また、モチベーションの維持といった精神的な難しさもありました。
教員採用試験の対策としては、通常、専門科目・教職教養・一般教養の3つを学習します。 専門科目である数学は自分が今まで得意としてきた科目であり、大学でも4年間学んでいたので、それほど苦労はしないとタカをくくっていました。 しかし良く考えると、教員を目指す人は専門科目を得意分野として皆が試験に臨むはずなので、数学を得意とするのは、自分だけでは無い事に気づきました。 採用する側は特に専門科目の成績を重視するという情報を得ていたので、教職教養や一般教養だけでなく、数学に力を入れて受験勉強に取り組むことを重視しました。 筆記試験を突破しなければ面接試験を受けられず、話になりません。数学こそ力を抜かず、実力レベルを高めなければならない。 また、教職教養については筆記試験だけではなく、面接試験に於いてもその理解が試されるものです。 人物重視が叫ばれて久しい教員採用試験の実態に鑑みると、面接の出来・不出来が合否に直接影響することは言うまでもありません。 従って、面接試験対策としても教職教養はきちんと身につける必要がありました。 このような情報は,ボンヤリしていても勝手に入ってくるわけでは無いので, すべて自分で情報収集し、必要な情報を選択して、学習計画も誰に頼ることなく自分で立て、実践していかなければならないのです。
実際に計画を立てて受験勉強を始めると、次にやってくるのはモチベーションの低下です。 専門教科はまだしも、教職教養ではあらゆる事を自力で復習しなくてはならないし、一般教養においては膨大な量の学 習が求められます。本当に採用試験までに受験勉強が終わるのか、ここまでしなければならないのか、と感じる事もしばしばありました。 場合によっては孤独感を抱きつつ勉強するという状況にも陥ります。 私の場合は、そのようなモチベーションの低下に打ち勝ちつつ、教員になりたいという確固とした意思を持って取り組む姿勢が大切でした。 そして、採用試験直前には教育実習もあります。教育実習はとても楽しい反面、非常に責任が重く、忙しくて大変です。 しかし、採用試験の勉強も休むわけにはいきません。両立させるのは実に困難であり、しっかり踏ん張る強い意志が必要です。 このように教員採用試験までの道のりは、想像以上に大変でした。 しかし、やり遂げた今、教師としての新生活がとても楽しみであり、苦労の多かった試験勉強も良い思い出となっています。
(2)大学で学んだこと
大学で学んだ数学は、教師として数学を教える際にとても大切だと思います。 大学で教わった理論をそのまま使って高校で教えるわけではありませんが、 全てに於いて基礎を重視した考え方を身に付けたり、公式などの成り立ちを学んだりすることにより、生徒の疑問に答えられるような知識が身に付くのではないかと思います。 また,日本大学理工学部数学科ではパソコンを用いた授業もあり、実際に教育現場で使える技術も習得することができました。 数学科のゼミでは、テキストや参考文献の内容を皆の前で解説し、納得してもらうということを行うのが基本ですが、 数学そのものだけではなく、板書の仕方、説明の方法などのノウハウも身に付けることが出来ました。 ただ単に数学を学ぶだけでなく、教師になるための必要な経験も体得できたと思われます。
大学生活では高校までと違って自分の自由になる時間も多く作れますが、 学校以外での時間をどのように使うかは人それぞれです。 私は主にアルバイトや学校ボランティアに費やしました。 塾講師のアルバイトでは極めて多くの体験が得られ、今までの人生の中でも,とりわけ大切なことを覚えた時間であったと思っています。 授業方法は勿論,子どもとの接し方全般に関しても、自分も楽しみながら大事なことを体得できたと思います。 学校ボランティアも塾講師と同じように、数学の授業をメインに据えた奉仕作業でしたが、実際の学校現場にいるだけで、学べることはまったく違います。 現職の先生から学校の実情をうかがい、教科指導法の指導もしていただきました。 大学生活は、なんとなく過ごしてしまえばそれまでですが、時間の使い方によってはそのときにしか得られないものは多いと思います。
(3)教師になるという夢
私は中学生の時に教師になるという夢を抱き、その夢に向かって進んできました。 そのような夢を持てた事はとても幸せなことだと思います。 これは多少の困難であきらめられるような程度のものではありませんでした。 教師は自分の知識を生徒に与えるだけでなく、生徒からも多くのことを教わり、共に成長していける素晴らしい職業だと思います。 そして、そのような職業は他に無いと思われます。 私は絶対に教師になるという強い意志を持つことができました。 教師への道は大変だとはわかっていましたが、現実的な困難さがあっても、その分努力すればよいのではないかと思いました。 自分の努力で夢を叶えたときこそ、それまでの苦労は良い糧となります。
私は「自分の夢や目標を持ち、それに向かって自分から行動できる生徒を育てる」という「次の夢」を持つ事もできました。 まだスタートラインに立ったばかりですが、この夢を叶えられるように全力で生徒にぶつかっていきたいと考えています。
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茨城県公立中学校 数学教諭 蛯原 智司
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平成 19年3月 日本大学理工学部数学科卒業
(1)教員採用試験のための対策
教員採用試験については、はじめは何から手をつけたら良いのか全く分かりませんでした。 予備知識もほとんど無い上に、思っていたよりも採用試験までの時間が少なく大変でした。 そこで試験に向けた勉強における工夫をし、時間を有効に使うために、自分であれこれ考えました。
最初に取り組んだのは情報収集です。 3年生の夏から時事通信社出版の「教員養成セミナー」やインターネットで、採用試験や今の教育制度についての知識を集めました。
次に、スケジュールの管理に力を入れました。 公立の教員採用試験の2週間前まで教育実習があって忙しかったのですが、勉強できるのはあと何日なのか、その間に自分は何をしなければなら ないのかを常に把握し、同時に東京都私学適性検査、他県私学協会への委託などの準備なども進めました。
具体的な勉強対象ですが、何よりも過去の試験問題の研究を重視しました。 自分の受ける県ではどの分野が多く出題されているのかを研究し、頻度が高いものほど時間をかけて学習しました。 自分一人では難しいものは、周りの力を借りて能率を上げました。 過去問の学習は非常に効果があったように思います。
(2)大学における授業などで役に立った事
大学での数学科教育法や教職の授業では、指導案に対して詳しいアドバイスを頂いたり模擬授業を行ったりした事が、とても良い経験になったと思います。 理工学部や数学科の掲示板に貼り出されていた情報からも、貴重な体験をする機会を得ました。
例えば、台東区立の中学校では夏休み補講の補助教員を経験し、教育実習以外にも生徒と触れ合う機会を持つことができました。
また、文部科学省インターンシップにおいて、教育における最高機関ではどのような仕事をしているのかを垣間見ることができました。 どちらの経験も非常に楽しく有意義でした。
(3)教員を志した理由
教員になりたいとまじめに考えはじめたのは高校に入る頃です。
私が一番影響を受けたのは中学校の部活の顧問の先生で、今でもご指導いただく折がありますが、この先生に出会って以来、教員になりたいと思うようになりました。
大学に入ってからもその思いは変わらず、ボランティアをしたり、人の前に立って話すようなアルバイトをしたりと、教員になってから役に立ちそうな経験は自ら進んで参加するようにしてきました。
これらが実って憧れの教員になる事が出来、とても良かったと思っています。
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東京都立高等学校 数学教諭 池上 恒紀
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平成17年3月 日本大学大学院 理工学研究科 博士前期課程 数学専攻修了
(1)教員を志したきっかけ
「数学の教員になりたい」それが日本大学理工学部数学科を選んだきっかけでした。
中学・高校時代に学んだ数学が面白く、解けなかった問題が解けたときの喜び、それは難しいパズルを完成させたときを遥かに上回る幸福感でした。 中学・高校時代から数学は比較的得意であり、好きでもありました。 友達からわからない問題を聞かれた時に、解法を説明してあげて「良くわかった」と言ってもらえた。 そのとき大変うれしく感じ、教員への道を考えました。
しかし本当に数学の教員を目指すのなら、より深く数学を学ばなければならないという思いがありました。 次世代の中学生・高校生にも数学の面白さを伝えられる力のある数学の教員になりたい、と真面目に考え始め、日本大学理工学部数学科に入学しました。
数ある数学科の中でも日本大学理工学部数学科は、情報教育にも力を入れており、 コンピュータを利用した純粋数学・情報数学を自然に同時に学ぶことができるということに興味を持ち、選びました。
(2)大学に入ってみて
大学に入学し、数学についてまず感じたことは、 大学で学んだ数学は高校までで学んだ数学と、相当違うということです。
ひとことで言うと、今まで以上に「考える」ということを厳しく要求されました。 大学で学ぶ内容は高校で学ぶ数学に比べて、基本により忠実である事柄から、難しく高度なレベルまで、極めて幅広く扱われます。 当然ですが、わからないことは沢山ありました。いろいろな参考文献をもとに、問題を理解しようとするのですが、随分時間がかかります。 たった一箇所の疑問についても、解明するまで1週間、2週間、時には1ヶ月余り費やすこともありました。 それでも理解するためにひたすら考え、悩み、調べて、最終的になんとか解きほぐせた時には、大きな達成感を得ることが出来て、次の学習意欲へと繋がっていきました。
大学入学時に数学科の学生全員にノートパソコンが1人1台ずつ貸し与えられました。 それまでほとんどパソコンに触れたことの無かった私は、とりわけ興味を覚えました。 コンピュータの授業は1年次から行われ、基本的な内容から教えてもらえるので、 パソコンの初心者であった私でも、相応の程度まで上達に到りました。 パソコンの便利さは勿論のこと、学内のあらゆる場所でインターネットに接続でき、 必要な情報がすぐに得られるような環境が与えられたのです。 数学やその他の科目で自分がわからない内容を、インターネットを利用して調べることもできます。 授業内容のみならず、サークル活動、遊び、趣味等、個人的なことにも使用できたので、非常に面白く感じました。
パソコンの授業は、実に初歩的な説明から始まりました。 パソコンの保管のうえで注意すべきこと、電源の入れ方、 ワード・エクセルの基本的な扱い方などなど。基本的な使い方を修得すると、 次は数学の問題に対し、ソフトウェアを用いた処理のしかたを学びました。 例えば、マテマティカというソフトウェアなどを利用し、複雑な形をした 関数のグラフや困難な計算の解を、ほぼ一瞬で求めることができました。 FORTRANやC言語、Javaなどによるプログラミングも学びました。 プログラミングの基本を勉強し数学の問題を解くことに応用できるようになると、 紙の上での数学の扱いに加えて、コンピュータの力を発揮させた数学にも強く興味を引かれ、 純粋数学と共に並行して勉強していくようになりました。 そして、大学4年の卒業研究時からはコンピュータを応用した数学を中心に勉強していきました。
大学卒業後、大学院に進学しましたが、そこでは物理に関することにも触れました。 流体や波動、熱に関する物理現象は、対応する数式の深い解釈が大切です。 コンピュータを利用して微分方程式の解を近似したり、 物理現象のコンピュータグラフィックスによる可視化を行って、 感覚的に捉えやすいものに置き換えたりする。 自分のテーマの中心に据えた問題に向き合ったときには困難や失敗もありましたが、 ゼミの先生の指導で解決に至り、大きな喜びを味わうことができました。 何よりも、真摯に学問に対峙するということを学びました。
数学科・数学専攻以外の授業も受講したことも、勉強に対する面白みを増すことのきっかけになりました。 例えば、電子情報工学科や情報科学専攻などでは、コンピュータのネットワークとその機器の扱い方の実習、 パターン認識論、画像処理などにおいて、優れた授業に接する事が出来ました。
(3)教員採用試験に向き合ったとき、そして現在
勉強・研究を行う一方で、教員になるための受験勉強もしました。
通常の教職課程以外にも専門科目の中に教育数学という特別な授業の設置もあり、非常に役に立ちました。
私の在学中に中学校・高校の数学の教員免許だけでなく、高校の情報の教員免許も同時に取得できるようになりました。 このおかげで数学に加えて情報の教員免許も早期に取得することができ、幅広い教員採用試験の受験が可能となり、選択肢が増えました。 教員になるための就職活動に関しても、勿論、先生方の助言も頂いたし、教員採用試験を受験した先輩も多いため、多方面よりサポートを受けました。 いろいろなアドバイスを頂いて相当助けられました。
通常、教員になるために受験する試験は、都道府県が行う教員採用試験や、 私立の中学高校に採用してもらうための私学適性検査です。 しかし、これらを受験する以外にも多くの受験の機会がありました。 日本大学の附属校の採用試験や日本大学理工学部数学科に直接来る求人に対する試験です。 公立、私立、どのような校種が自分に向いているのか、悩みました。相談もしました。
大学院博士前期課程修了後の1年間は、中学・高校の非常勤講師を勤めました。 埼玉県立高校と東京都私立中高一貫校のかけ持ちでしたが、 数学と情報の両方を教えることが出来ました。 この経験が生かせたおかげで東京都教員採用試験に次の年に合格し、 現在は東京都立の高等学校の数学科専任教諭を勤めております。
専任になると授業、校務、研修と多忙ではありますが、生徒と向かい合い、 時間を共有し、充実した毎日を送ることが出来ています。 素直で良い生徒が多く、教科学習・部活動・学校行事のいずれにおいても 一生懸命に取り組む彼らの姿を見て、私自身も励まされています。 数学の楽しさを伝えようと模索する中で「先生のおかげでわかるようになった」 「来年もまた先生に教えてもらいたい」という声を聞くと、何よりもうれしく、 本当にこの職業に就けて良かったと感じます。何事に於いても常に生徒本位とすることを、 いつまでも忘れないような教員でありたいと考えています。
高校の教員となった現在、大学で学んだ知識はいろいろなところで直接役に立っています。 教科指導の内容は高校のそれであっても、 指導の上では大学以上の高いレベルから俯瞰できないと、 生徒に説明できないことがしばしばあります。 生徒に配布するための教材作成には大学で学んだコンピュータの技術が役立っています。 オフィス系のソフトウェア、TeXという数式用ソフトなど。 校務分掌ではマクロも使います。これはプログラム言語の一種ですが、 初めて触れたのは大学での授業であり、更に深く自主的に学習して校務に活かせるようになりました。 いざ教員になってみると、大学・大学院で学んだことが大変役立つことに気付かされます。 何よりも、自分自身が大学でつかんだ「勉強の本当の意義」を生徒に伝えられればと思います。
中学・高校の頃からの夢であった数学の教員。 その夢の実現のためにお世話になった数学科には大変感謝しています。 教員志望に役立っただけでなく、大学生活も非常に楽しかった。 多くの友人ができ、多くの知識を得ました。 大学時代の友人とは今でも連絡をとりあい、交流を深めています。 教員になった同級生も多いので、情報交換をしたり、悩みを相談し合ったりしています。 あらためて大学の4年間、大学院の2年間の重要性を再認識しています。
日本大学理工学部数学科では、純粋数学とコンピュータが並列し て学べる環境が良かったと思います。教員になりたいという夢があったので、 塾・家庭教師のアルバイトと、勉強や研究を両立させながら大学生活を過ごし てきましたが、同じように過ごした友人も少なくありませんでした。教員以外 の職業に就いた同級生も数多くいますが、いずれにしても、大学で何を学びた いのか、将来の進路・夢は何なのか、後輩の皆さんにはそれを考えてもらいた いと思います。
そのときによって自分の考えが変わることがあっても、その考えを貫き通すことができるのであれば、 充実した大学生活が送れるのではないかと思います。
ぜひ、数学科に入学された皆さんが、学習面、生活面において充実した学生生活を送り、将来の夢に向かって努力し、それが実現できるよう、願っています。
メッセージ
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日本大学習志野高等学校 佐藤 祐介
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平成21年3月 日本大学理工学部数学科卒業
平成23年3月 日本大学大学院理工学研究科博士前期課程数学専攻修了■現在どのような仕事をしていますか?
担任:1学年
教えている科目:数学I・数学A
校務分掌:教務部,ネットワーク委員会
部活動:ソフトボール部■教員を目指したきっかけはなんですか?
さらに高校生になって数学の面白さに惹かれ,これを次代の子供達に伝えていきたいと思うようになりました。 また,元来子供が好きであり,子供達と触れ合える職に就きたいというのも理由の一つです。
■平均的な一日のスケジュールを教えてください。
6:00: 起床
7:00~7:30: 出勤
7:30~8:20: 一日の業務確認
8:20~8:30: 朝礼(朝の打ち合わせ)
8:30~8:45: ホームルーム
8:45~12:35: 授業
12:35~13:15: 昼休み
13:15~15:05: 授業
15:05~15:30: ホームルーム・清掃
15:30~19:00(20:00): 部活動・会議・雑務・生徒対応・教材研究等
20:00~20:30頃 : 帰宅
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24:00: 就寝■教員として、日々心がけていることを教えてください。
「生徒と信頼関係を築くこと」です。ホームルームや授業はもちろんのこと, 日々の学校生活の中で生徒と積極的にコミュニケーションをとり,生徒の特長を把握することに努めています。 生徒との壁を取り払って気軽に話しかけられるような環境作りをしています。
■教員のやりがい、教員になってよかった思う事を教えてください。
(1) 生徒が「数学が面白いと感じるようになった」,「先生が担任で良かった」などと言ってくれたときです。
(2) 「生徒による授業評価アンケート」の「学校生活が充実しているか」という項目において,私のクラスが学校全体(34クラス中)で1番という結果でした。■学生へ一言!
教員という仕事は学生の皆さんが想像している以上に激務です。 朝早く出勤して,夜遅くに帰宅するということもしばしばあります。 しかし,手をかけてあげればあげるほど,生徒達も教員に対して信頼してくれたり, テストなどで良い結果を残してくれたりします。
このようなところに教員としてのやりがいを感じます。 教員になるまでは険しい道のりかもしれませんが,諦めずに頑張ってください。
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東京都内 私立高等学校 数学教諭 細谷 大輔(高校教員になって良かったこと)
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平成15年3月大学院博士前期課程修了
高校教員になって良かったことは何かと訊かれ、あらためて考える折々があります。実際、教員がその信条に従って生徒を指導することは、非常に大変な仕事です。授業だけこなせばよいわけでもない。会議もあれば部活もある。イレギュラーなことが毎日のように起こり、その対応に追われる日々です。失敗もたくさんしました。自分の心の「芯」が折れそうになったこともあります。生徒のことで何度も思い悩みました。
それでも私は教員になって良かったと胸を張って言えます。
言い古された表現ですが、教員は「種をまく」職業といわれます。種とは、生徒に対する教員の叱咤や激励の言葉であり、学習の教授であり、教員自身の「人となり」でもあります。教員とは自分の信念に基づいて、生徒が自発的に、自らを良い方向へ導くことができるよう、生徒の「心」という土壌に根気強く種をまいていくのです。その種はすぐに芽を出すかもしれないし、そうでない場合もあります。また、数年後に突然芽を出すこともあるでしょう。
教員になって良かったこと、それは自分がまいた種の「芽が出た瞬間」を目撃することができることです。まさに農業と同じく、種をまいた後、芽が出るまでは辛抱強く待つしかありません。きちんと芽が出るように毎日世話もします。それが冒頭に書いた繁忙な日々なのです。それだけに芽が出た瞬間の喜びは何事にも代え難いものです。こういう瞬間に「教員をやっていて良かった」と心から思えます。
今年の3月に、私は初めて卒業生を出しました。たくさんの問題をかかえ、たくさんの失敗をくり返したクラスでした。それでも卒業式後の最後のホームルームで私が感極まってしまったのは、生徒の中に、彼ら一人一人の「発芽」の形を発見できたからかもしれません。
教員を目指しておられる日本大学理工学部数学科の学生の皆さん。あなた方は今、数学を学ぶ上で最良の環境にいます。ぜひこの4年間で確固たる数学の基礎を築いてください。揺るぎない数学の力は、その人が意識しなくても言葉の端々や態度からほとばしるものです。学校の生徒はそういったものに敏感です。すぐに数学の能力があるか否かを見極められてしまうでしょう。「鉈のような計算力なくして何が数学だ」とは私の恩師の言葉です。数学の力を磨き、良い教員にふさわしい人間になれるよう、皆さんのご健闘を祈ります。